価値の本質を見極める為の仕事のやり方は「シンプルに考える」こと。
そのことを教えてくれる一冊を紹介します。
ブックレビュー
本の著者がプログラマでもあるので自分の環境でもナルホド!と思うことが多い良書でした。開発プロジェクトを進める上での進め方についてとても腑に落ちる事が多かった。
気になったポイントを挙げていきたいと思います。
会社は何のためにあるか?
僕の答えはシンプルです。
世の中に価値を提供するためにある。これがすべてです。
どんな会社でも当てはまること。でも、これを意識している人は案外少ないんじゃないでしょうか?
特に「給料をもらうために仕事をする」と考えると単なる時間を対価にした作業になり、価値の提供というよりも労働力の提供に。その労働力が結果的に価値を提供する形になっていても、意識がないから時間さえ過ぎればと思ってしまう。
そもそもゲームとは何でしょうか?
遊びです。人々が楽しく遊べるゲームは、よいゲーム。そう考えれば「美しいグラフィックス」はゲームの本質ではなく、あくまでゲームの一要素に過ぎません。
美しいグラフィックス(高度な技術)から単純なグラフィックスに変えなければいけない開発者の葛藤。ある意味、職人なんですよね。でも、ゲームの場合は職人が作ったものを求めていない。
ユーザが求めているのは楽しいゲーム!中にいると盲目的になりやすいので注意が必要。
むしろ、経営理念を明文化することは危険ですらある。
なぜなら、明文化したがために、理念が形骸化していく恐れがあるからです。
経営理念を前面に出すと、それを覚えなさい!という会社が出てくる。朝礼や昼礼でみんなで唱和をしはじめる。
強制で言わされるとそれは言葉の意味を理解せず、単なる言葉の塊になる。それって意味がありますか?本当にしたいことですか?と思わせられますね。
経営学は経営者にとっては重要なものです。しかし、それを現場と共有することに意味はありません。むしろ、彼らの仕事を邪魔するだけなのです。
経営学を覚えると、良い製品が出来るのか?という問。経営学を覚えると「会社主体」になる。でも、良い製品って「ユーザ主体」だよね?良いものを作るクリエイターは経営学をマスターする必要はない。
強い意思をもって「古いもの」を捨てる覚悟をしなければならない。
人は成功に執着してしまう。この成功がいつまでも続くと思い込んでしまう。でも、その成功にしがみついている限り、世の中の流れに取り残されてしまう。勇気を持ってその成功を手放そう。
これは私に刺さったフレーズ。今、めちゃめちゃ手放すことをためらっているから。
「差別化を狙う」のが正しいことだとは思えません。
なぜなら、その瞬間に、最も大切な視点を失ってしまうからです。
何に対して「差別化」なのか?を考えると「他の製品=他社」。これはユーザの事を第一に考えるのではなく、ライバル会社の事を第一に考えてしまっている。
価値はユーザに対してあるべきで、他社に対してはあるべきではない。
自社の強みを考える事が会社でよくあるけど、これも差別化で「他社に対して」だね。ユーザに対して何ができるのか?を第一に考えれるようにならなければ。
ただシンプルに、ユーザにとっての価値を追求しているだけです。ユーザの価値を極限まで追求した先に、イノベーションは生まれると信じているのです。
革新を生み出すのは、革新を意識するのではなく、ユーザに対して価値を高めていく過程で「これは革新的だ!」と言われることで後から生み出されるもの。
シンプルにユーザのことを考えてプロジェクトを進めていくことが重要ですね。
ミズタニが読んだ本の情報
シンプルに考える
ダイヤモンド出版 2015年5月28日初版、2015年7月27日 第7刷
シンプルに考える 森川亮 ダイヤモンド社 2015-05-29
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